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ピアノコラム piano column

 

[朝練のお母さん]
お母さんはシングルマザー

[朝練のお母さん]
お母さんは
シングルマザー

S君(5歳)は1歳から保育園に通っているとても明るくて元気な男の子。
4歳から私の所の音楽基礎コースで、リトミックや言葉リズムを習い、5歳よりピアノのレッスンを始めた。
片時もじっとする事の無い元気いっぱいなS君はピアノにも興味深々で、先生の話など聞かず自由奔放にそこいら中の鍵盤を叩きまわって音の出るのを確かめているようでした。

そんなS君をフルタイムで仕事をしながらレッスンに連れてくるのは、忙しいお母さんには大変なこと。
聞くと、朝8時前には保育園に子供を預け、夜6時にお迎えにいった帰りにレッスンに連れて来て、レッスンが終わったら買い物をし、家に着くのが7時半過ぎ、それから晩御飯の支度。子供をお風呂に入れ、9時就寝。
お母さんはその後、家のかたづけをしたり、残業が出来ず持ち帰った仕事をしたりすることもあるそうだ。
朝は5時前に起き、6時には朝ごはんを食べさせ、自分のお弁当もつくり、6時半からS君のピアノの練習を一緒に電子ピアノでするという毎日。
夜は疲れているせいか、つい子供をしかってしまうことが多く、これでは音楽の練習が楽しくならないと考え、朝練を親子一緒にやろうと自分も一緒に子供の本を弾いている。

そう、S君のお母さんはシングルマザーなんです。
S君のお母さんは、S君が生まれてまもなく離婚され、その後は誰に頼ることなく一人で働きながら子供を育てている。
生活を支えるだけで精一杯の日々のなか、ある日、自分から笑顔が消えていたのに気が付いたのは、幼いS君が保育園で描いた「ママの顔」が他の園児達と違い、一人だけ怒った顔になってるのを見たときだ。
「自分以外頼る人のいないこの地で、ただ食べるためだけに生きているのではなく、もっと楽しく生きていきたい! 親子で楽しめる何かを探そう!」
そうして、S君とお母さんは私のところでピアノを習うことになった。

学生時代はブラスバンドでトランペットを吹いていたお母さんは、息子が大きくなったら一緒に演奏できるように、今は親子一緒にリトミックを楽しみ、ピアノで音楽の基礎を身に付けておこうと、毎朝保育園に行く前の時間をピアノの練習に充てている。
S君とお母さんは、二人で同じ本を使い、右手がS君、左手がお母さん又は右手がお母さん、左手がS君というように、連弾したり1人で両手を弾く時は、1オクターブ低い音で二人同時に弾いたりと、時には「ママ、まちがえないで!」とS君に叱られながらピアノの練習を続けている。
がんばれ!S君のお母さん!


長廻かおる

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