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ピアノコラム piano column

 

[コンクールの功罪-2]

ピアノコンクールは真剣勝負だ。
課題曲があれば何十人、何百人の同級生が同じ曲を弾き、点数化される。
今まであまり熱心に練習していなかったAちゃんは、コンクールという課題に向かってはじめて、真剣に自分自身熱中して練習した。
今までお母さんに叱られないと練習しなかったが、コンクールという目標を持った事により、人が変わったように熱心に自分から練習するようになった。

コンクール会場は熱気に包まれていた。
お父さんもお母さんもみんな真剣だった。
この緊張感の中、失敗しないようにと、みんながAちゃんと同じように緊張していた。

Aちゃんの出番が来た!
少し出だしがふらついたように聞こえたが、後半になればなるほど上手に弾いていった。

演奏が終わった後Aちゃんは泣いた。
緊張の糸が切れてホッとしたのか、お母さんにしがみついて泣いた。

結果は落選・・・

私は「よく頑張ったね。Aちゃんは凄い努力家だよ!
この数か月で見違えてしまうほど上手になったもの。初めてのコンクールでこんなにしっかり演奏できるなんて、素晴らしいよ。コンクールのおかげで凄く良い勉強が出来たね。」

すると、お母さんが「そうよ。Aが毎日一生懸命練習したのを見て、この子の中にはものすごい可能性があるのだって、はっきり見えたわ。Aコンクール受けてよかったわね。」
お父さんも頬を高揚させて言った。
「A、おまえは本当に素晴らしかったぞ!
おまえが一生懸命ピアノを弾いている姿を見て、俺、涙が出たぞ。こんなに緊張する場所でこれだけの演奏できるなんて、おまえは本当に凄いぞ!コンクール受け手よかったな。」

Aちゃんの顔には涙はもうない。きっぱりとした口調で言った。
「来年もまたコンクール受ける! 今度はもっともっと上手になるんだ。」


長廻かおる

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