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ピアノの値段の違いは
どこから来るのか?

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ピアノの値段の違いは
どこから来るのか?

 

ピアノの値段を見ると「同じメーカーの同じようなピアノなのに、どうしてこんなに値段が違うの?」と、不思議に思われるかもしれません。
値段が高いのには「新しいから」という理由だけではないのです。
実は、ここに良いピアノの条件が秘められているのです。

①ピアノの性能

①ピアノの性能

ピアノは新しいモノが新鮮だから良いとか、最新型の新製品の方が性能は良い…という事はありません。

ピアノの性能

有名なストラディバリウスのバイオリンは100年以上前の中古品ですが、その音色の美しさで、バイオリニストの憧れです。
現代の科学的技術力を以てしても、なお超える事の出来ないその素晴らしい音色、響きは長い時間をかけて、徐々にボデイの木材が乾燥し、環境になじむことで完成されたであろうと推測されます。

ピアノにも同じことが言える場合があります。
古いヨーロッパ産のピアノなど、実に味のある音色や響きのモノもあります。
それらは、単に古いものを温存してあったから出来たモノではなく、弦を磨いたり、反響板、ハンマー、ダンパー等の部品の一つ一つを丁寧に高度な技術力を持って手をかけ、時間をかけてメンテナンス作業をしたからこそ出来た音なのです。

「中古ピアノ」の場合は、製造された後の環境、使用頻度によって価格が決められますが、ピアノのオーバーホール作業(弦の張替え、ハンマー交換、整音等々)をしっかりとされた後のものならば、心配はありません。

②ピアノの見分け方

②ピアノの見分け方

ピアノの見分け方 画像1

UP(アップライトピアノ)の場合は(国産ピアノの同じメーカーのものであれば)背の高いモノ、重量のあるモノの方が良いピアノです。

GP(グランドピアノ)の場合は、(同じく、国産ピアノの同じメーカーのものであれば)本体の長いモノ、重量の重いモノの方が良いピアノです。

ピアノの見分け方 画像2

UPの背の高さ、GPの本体の長さは、響鳴板でピアノの本体に当たる部分です。
響鳴板、反響板が大きく、しっかりしているものほど、音の響きが美しく、弾き終わった後の残響音が長く残ります。それは、お風呂場で歌ってエコーが響くのと少し似ています。

良いピアノかどうかの違いは以下によって変わります。

  1. 材料の違い(本体の木材の種類、等級、乾燥時間、ハンマーの価格差、等々)
  2. 組み立て場所が国内(材料や部品は国産でも組み立てが海外の場合もあります。)
  3. 技術者がどれだけ手間と時間をかけたか(機械組立よりも、ハンドメイドの部分が多いという事は、それだけ繊細な作業をすることになる。)

③ピアノの機能としての違い

③ピアノの機能
としての違い

ピアノの機能としての違い

【A.ペダル機能
UP(アップライトピアノ)とGP(グランドピアノ)の左、中央ペダルでは機能が全く異なります。

  1. 右のペダルは「ダンパーペダル」と呼ばれ、UP、GPとも同じです。
    右ペダルを踏む事により、弦を押さえるダンパー全体を上げ下げすることができ、演奏に音の伸びや響きを作る事ができます。
    別名レガートペダルと呼ばれる所以です。
  2. 中央ペダルは、UPでは「マフラーペダル」です。踏むと、弦とハンマーの間に大きなフエルトの布が挟まれた状態になります。
    これにより演奏音全てが少し曇ったような音色となり、全体の音量を小さくします。防音の関係上使用する場合がありますが、通常の演奏時には使いません。

    GPの中央ペダルは「ソステヌートペダル」で、UPとは全く使用方法が異なります。
    これは、演奏中に必要と思えるある部分が来た時に使用します。それは、中央ペダルを左足で踏みながら、同時に右ペダルも踏み換えながら演奏するのです。
    それにより、低音部のある特定音を響かせながら、中高音部の音の響きをコントロールすることが出来るのです。
    これは演奏表現方の一つですが、上級レベルの方(バッハの通奏低音や近現代曲)が使用するデリケートな表現術なので、ピアノの初中級者で使用することはありません。

UP(アップライトピアノ)とGP(グランドピアノ)の最も大きい違いは左ペダル「ペダル、シフトペダル」です。

UPの左ペダルを踏むと、ハンマーが弦に近付き、それにより全体音が小さくなり、音色も響きが変わります。
GPは左ペダルを踏むと、鍵盤全体が数センチずらすことが出来ます。
鍵盤が移動する瞬間を是非、自分自身で確かめてください!
鍵盤全体が移動することにより、弦を打つハンマーも同時に移動します。
それにより、ハンマーのヘッドのフエルト部分がいつもと違う位置で打つことになり、音色や響きが変わっていきます。

つまり、新品のGPでは何ら変化は有りませんが、使用量、使用期間が長くなるほどにその音色の変化は大きくなります。
数年もハンマーの手入れをしていないと、音がくすんでしまう事もあるので、定期的なメンテナンスを受けることが大事です。

【B.メカニック(機械)としての違い

メカニック(機械)としての違い

ピアノはUP(アップライトピアノ)、GP(グランドピアノ)で、その性能が違います。
それは、車でいうと軽自動車、普通自動車、4輪駆動車、スポーツカーなどと同じで、演奏者の求めるもの、演奏力によっても違うのは当然ですが、上手になりたいなら良い楽器で練習する事も重要です。

ピアノの鍵盤の模型を見たことはありますか?お店の人に聞くと、その模型を見ることが出来ます。
UPは単にGPを小型化、縦型にしただけのものではありません。
最も大きな違いは、鍵盤からハンマーにつなぐ部分の構造が違い、GPは鍵盤の戻るスピードが速いのです。
演奏レベルが高くなって、トリルやトレモロが出てきた時、UPで練習している方と、GPで練習している方とでは、明らかに演奏内容に違いが出てきます。
UPとGPの鍵盤の戻りの速さが異なる事を、トリルを弾いて実感して下さい。

演奏曲のテンポを速く弾く時期になると、練習ピアノの性能が演奏技術の差にもなります。
初心者だから…まだ子供だから…ではなく、ツエルニー30番練習曲を弾くくらいになると、GPで練習して欲しいです。
折角の努力を無駄にしないためにも、良い楽器で練習して下さい。

分かり易く言えば、美しい字が書けるようにと、一生懸命筆ペンでお習字の練習をするよりも、本物のよい筆で練習する事の方が良いのと同じです。

ピアノは必ず自分自身で音を出してみる事。
そして、ピアノは弾き比べが出来る楽器店で購入する事をお勧めします。

まとめ

まとめ

ピアノの値段の違いはどこから来るのか? まとめ

お誕生日などに、サプライズでピアノをプレゼントされる方がいます。とてもありがたいことですが、ことピアノ選びにおいては、サプライズはあまりお勧めできません
例えば、サプライズで靴を選びますか?サイズは同じでも一人一人履き心地は違います。必ず試着して購入しますね。
ピアノも同じで、一見同じように見えますが、一台づつ音色や響きが違いますし、演奏する本人を購入選びに加えることにより、これからの練習のモチベーションにも発展していきます。
子供さんは、あてがってもらったものより、自分で選んだものにはことさら想い入れを強くし大事にします。
是非、子供さんも一緒に、家族みんなでお店に足を運び、みんなで相談しながら本人が「私のピアノはコレ!」と決めたものをプレゼントしたり、買ってさしあげてくださいね。

協力 ピアノプラザ群馬



長廻かおる

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