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ピアノコラム piano column

 

[すてきなパパ]
娘と連弾猛練習

小学1年生のOさんは家にピアノが無い。
近所に住んでいるご実家に、昔お母さんが子供だったとき弾いていたピアノがおいてある。
お母さんも多少ピアノが弾けるので、いつの日か親子で連弾が弾けるようになるのがお母さんの夢だという。
Oさんは、ご両親が二人ともお仕事をされているので、小学校がおわったらそのまま学童保育へ行き、夕方はおばあさんがOさんを迎えに来てくれる。
おばあさんの所で、おやつを食べ、ピアノの練習をしてから家に帰るのが日課になった。
少しづつ指が動くようになり、「ぶんぶんぶん」、「かっこう」などの曲が弾けるようになると、お母さんはOさんの伴奏部分を弾き、念願の親子連弾!!だ。
その後、Oさんのレベルは上がっていき、連弾も複雑な曲が弾けるようになった。
母娘はピアノの練習を一緒にすることも多くなり、おばあさんの家はとても賑やかだ。
時々レッスンを見に来ていたお父さんは、そんな二人をにこにこしながら応援してくれていた。

そんなある日、Oさんはめずらしくお父さんと二人だけでレッスンにやって来た。
お母さんが風邪をひいて寝込んでいるという。
私は「いかがですか? お父さんも一緒にピアノを弾いてみませんか?」と誘ってみた。
するとお父さんは、「ええっ? 私がですか?」と驚いていたが、「大丈夫ですよ。鍵盤のこことここを両手で押さえて頂けると、通奏低音の響きが出てこの曲がとても素敵になりますから。」そう言って、お父さんの大きな手を鍵盤の上にのせた。
何度か練習をすると、思ったとおり素敵な曲になったではないか!
大きな体を固くして少し顔を赤らめ、一生懸命ピアノに向かう父親と、少し心配そうな顔で隣に座っているOさん。
まるで、大きなくまさんと小りすのようだ。

「いやあ~僕、初めてピアノを弾きましたよ! 僕でも連弾が出来るんですね!」
少し額に汗をかきながら大きな声で笑った。
「いつも女房と娘が一緒に弾いてるのを見て、少し羨ましかったんです。」
「パパ、パパもピアノ弾けるんだ!」そう言ったOさんの顔はなんだか誇らしげに見えた。
風邪ひきお母さんのおかげ?素敵な父娘の共演になった。

今度はお父さん、お母さん、Oさんの3人、6手の連弾の曲を準備しておこう。


長廻かおる

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