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ピアノコラム piano column

 

[ごめんあそばせ!]
上品な4才

まるで日本人形が動き出したのかと思うほど可愛らしい4歳の女の子だった。
小さなヒマワリの花がついた麦わら帽子をかぶり、黄色い小花を散らせたような白いワンピース、帽子とおそろいのヒマワリの付いた小さなサンダルを履いたMちゃんは、お母さんと手をつなぎレッスンにやってきた。
「よろしくおねがいします」お母さんと一緒にお辞儀をし、よじ登るようにピアノの椅子に座ると、後ろで見ているお母さんを振り向き、こっくりとうなずく。
両足はきちんとそろえていて、見るからにしっかりと躾をされている様子だった。
ちょっと子供らしさに欠けるかなあ・・・などと思いながらも、いつものように、両手の指を親指から1.2.3.・・・と番号で呼ぶ事を教え、Mちゃん、お母さん、先生、の3人でじゃんけんをしながら「1の指!」と言ってはみんなで親指を出す遊びからレッスンをスタートさせた。

1親指、2人差し指、3中指、・・・4薬指・・・の時だ。
やってみるとわかるが、単独で薬指をだすのはピアノを習っていないまだ4歳の子供にはなかなか難しいものだ。
4の薬指を出そうとしても3、4、5の指までもが一緒に出てしまう。

その時だ。
「ごめんあそばせ!」
小さな声だった。

上手く出てこない薬指を押さえながら、わずか4歳のMちゃんが言ったのだ。恥ずかしそうに。
「ごめんあそばせ!」
なんて可愛らしい言葉!なんて上品な4歳!私はびっくりした。
「大丈夫ですよ。少しづつ指を動かす練習をしましょうね。」
なんだか、私の方まで話し方が丁寧になっている。
「ごきげんよう」
そう言って、Mちゃんはお母さんの手をつなぎ帰って行った。

なんて可愛い、なんて上品な生徒さん!

私も言葉には気をつけねば。


長廻かおる

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